「相続人調査」に必要な戸籍収集の流れを解説

「相続人調査」に必要な戸籍収集の流れを解説

目次

相続人調査は“最初の一歩”|戸籍が必要になる理由をやさしく整理

相続手続は「誰が相続人なのか」を確定するところから始まる

親が高齢になってくると、「そろそろ相続のこと、少し考えておかないとかな…」という気持ちがじわりと出てくるものです。

ただ、何から手をつければいいのか分からない方がほとんどで、最初のハードルがこの相続人調査です。ここが曖昧なままだと、相続登記も遺産分割の話し合いも前に進みません。

相続人が一人でも漏れていると、手続が無効になる可能性があり、あとから揉める種になりがちです。

「知らない兄弟がいた」「前婚の子がいた」といった追加の情報が戸籍から分かることも珍しくありません。だからこそ、最初にしっかり相続人を確定させる作業が必要なのです。

なぜ“出生から死亡まで”の戸籍が必要になるのか

戸籍の収集が必要と言われると、「今の戸籍だけあればいいんじゃないの?」と思ってしまいますよね。ところが、相続では亡くなった方が生まれてから亡くなるまでに作られた全ての戸籍をそろえる必要があります。

理由はとてもシンプルで、戸籍には「家族関係の変化」がすべて記録されているからです。
婚姻、離婚、養子縁組、認知、転籍……。そのどれかが相続人の範囲に影響を与えることがあります。現在の戸籍だけでは、途中の出来事が抜け落ちる場合があります。

そこで、昔の戸籍(改製原戸籍や除籍)までさかのぼる必要があるわけです。

この仕組みを知らずに、最新の戸籍だけを提出して「これじゃ不十分です」と返されるケースもよく見られます。最初に流れを知っておくと、後でバタバタせずに済みます。

本籍が動いているほど戸籍は増える

市川を含む首都圏では、転勤や引っ越しが多く、本籍がバラバラになっている家庭も珍しくありません。
本籍地が動くたびに戸籍が分かれるため、「まさかこんなにあるの…?」と思うほど冊数が増えることもあります。

とはいえ、不安に思う必要はありません。戸籍は最新の一通から順番に遡っていけば、どの役所へ請求すればいいか分かるように作られています。

役所への郵送請求もできるため、全国に散らばっていたとしても、一つずつ手順を踏めば必ずそろいます。

相続・遺言・成年後見を考える上で、最初のつまずきをやわらげるために

相続や遺言、成年後見の相談を受けていると、「一番大変だったのは戸籍を集めるところでした」と話す方が多いです。

それほど、この相続人調査は負担が大きい作業なのです。

ただ、ここを丁寧に行うことで、後の手続や家族間の話し合いが驚くほどスムーズになります。
相続人を確定させるという作業は、手続の入口でありながら、家族の状況を改めて整理するきっかけにもなります。

次章では、初心者が混乱しがちな戸籍の種類や読み方について、できるだけ負担の少ない形で整理していきます。続きを読み進めることで、「戸籍収集ってこういうことか」と自然に理解できるよう構成しています。

戸籍の種類と読み取り方をやさしく整理|初心者がまず知っておきたい基礎知識

名前が似ていてややこしい戸籍たち

相続人調査を始めると、まず最初にぶつかるのが「戸籍の種類が多すぎて分からない…」という悩みです。
戸籍、除籍、改製原戸籍など、名前が似ているうえに見た目もバラバラで、初めて触れる方にとっては混乱ポイントの代表格といえます。

ここで一度、ざっくり特徴を整理しておきます。

  • 戸籍
    →現在の状態を示す書類
  • 除籍
    →その戸籍にいた人が全員いなくなった後の書類
  • 改製原戸籍
    →法律や書式変更の際に作り替えられた、古い版の戸籍

相続では、この三種類がミックスで必要になることがほとんどです。
「最新の戸籍だけ提出したらダメだった」というケースがよくあるのは、このためです。

戸籍には家族関係の“変化”がすべて載っている

戸籍が重要なのは、生まれてから亡くなるまでの家族関係の変化が丁寧に書かれているからです。
婚姻、離婚、養子縁組、認知、子どもの出生…こうした一つひとつが相続人の構成に影響します。

たとえば、

  • 前妻との子がいた
  • 認知した子がいた
  • 婚姻と離婚を繰り返して本籍が何度も動いている

こうした情報は現在の戸籍だけを見ると抜け落ちます。
途中の戸籍を追っていくことで、ようやく全体像が見えてくるのです。

相続登記に必要な「相続人一人ひとりの範囲」を確定させるためには、この積み重ねが欠かせません。

読み慣れない用語が多くても心配はいらない

改製原戸籍などには、手書きに近い字体や旧字体が残っていることがあります。
最初は読みにくいかもしれませんが、情報の見方さえ押さえれば大丈夫です。

戸籍を見るときの基本ポイントは次の通りです。

氏名と記載の順序

いつの記録なのか、誰が誰の子なのかを追うための基本になります。

身分変動の記録

婚姻、離婚、死亡、転籍など、家族関係に関する大切な出来事が並んでいます。

本籍と筆頭者

本籍は戸籍の所在地。筆頭者が変わることで、戸籍が分かれたり、新しく作られたりします。

こうした情報が一つにつながることで、相続人の範囲がはっきりしていきます。

つまずきやすいポイントは誰でも共通している

相続の相談を受けていると、「自分の家の戸籍は複雑なのでは…」と不安を抱える方は多いです。
しかし実際には、多くの家庭で似たようなつまずきが起きます。

たとえば、

  • 本籍地が全国に散らばっている
  • 本籍を何度も変更している
  • 古い戸籍が見づらい
  • 親族関係が複雑になっている

こうしたケースは珍しくありません。
「うちだけが特別に複雑」ということはまずありませんので、落ち着いて一つずつ追えば大丈夫です。

次章は「実際にどう集めていくか」を具体的に

ここまでで、戸籍の種類や見方の全体像がつかめてきたと思います。
次の章では、いよいよ具体的な戸籍収集の流れをステップごとに解説します。

煩雑に見える作業も、順番さえつかめば一歩ずつ確実に進めていけますので、ここで肩の力を抜いて読み進めていただければと思います。

相続人調査の基本フロー|出生から死亡までの戸籍をそろえる手順

「どこから手をつければいいの?」を解消するための道筋

戸籍収集の全体像を知ったところで、次は実際の流れを整理していきます。
相続手続のなかでも、この戸籍収集は特に時間がかかりやすく、役所とのやり取りも多くなるため、事前に流れを把握しておくと負担が大きく減ります。

ここでは、初心者でも迷わないように、行政書士が実務で使っている流れにできるだけ近い形で説明していきます。

ステップ① 亡くなった方の“最新の戸籍”を取得する

最初の一歩は、亡くなった方の最新の戸籍を取ることです。
ここには「亡くなったことの記録」や、最終的に誰と同じ戸籍にいたのかが載っています。

なぜここから始めるかというと、この最新戸籍に次のヒントが書かれているからです。

  • ひとつ前の戸籍の本籍
  • 何年に本籍が移動したか
  • 家族の状況(婚姻、離婚、子どもなど)

この一枚を起点に、“ひとつ前の戸籍”へ遡り、“その前の戸籍”へ進み…という順で集めていきます。

ステップ② 最新から古い戸籍へ、階段を下りるように遡る

相続では、「出生から死亡までの戸籍」をそろえる必要があります。
これは一気にそろえるのではなく、階段を一段ずつ下りていくように集めていきます。

具体的には次のようなイメージです。

  • 現在の戸籍
  • 改製原戸籍(書式変更で作り替えられた前の版)
  • さらに古い原戸籍
  • 除籍(その戸籍の構成員が全員抜けた後のもの)

役所の窓口で「出生から死亡まで全部ください」と言っても、戸籍を保管している市区町村が複数ある場合は、そもそも一つの窓口ではそろいません。
そのため、最新戸籍に書かれた「前の本籍地」を頼りに、必要な役所へ順番に請求する形になります。

ステップ③ 本籍が全国に散らばっている場合のコツ

市川など都市部では、転居や転籍を繰り返している家庭も多く、本籍が全国に散らばっていることがあります。
その場合、役所をまたいで戸籍を集めるため、少し時間がかかります。

こうしたケースでスムーズに進めるためのポイントは次の通りです。

本籍の遍歴をメモにまとめる

最新戸籍を見ながら、「次はどこの役所へ請求するのか」を紙に書き出しておくとスムーズです。

郵送請求を活用する

遠方の役所へ行く必要はありません。多くの自治体が郵送請求に対応しており、必要書類もホームページに掲載されています。

いきなり“まとめて請求”しようとしない

戸籍は連続していないこともあるため、一つ取って確認し、次へ進むのが確実です。

ステップ4 成年後見制度や家族信託の関係者が請求する場合の注意点

最近は、認知症が進んだ親のために成年後見制度を利用している家庭や、家族信託の受託者が財産管理を担っている家庭も増えています。
その場合、戸籍請求の権限が誰にあるのかが少し変わります。

成年後見人がいる場合は、後見人が戸籍取得の請求者となります。
家族信託の受託者の場合は、通常は委任状が必要です。
それぞれの立場ごとに役所が確認するポイントが異なるため、事前に問い合わせておくと安心です。

ステップ⑤ 必要書類が揃ったら、相続関係説明図へつなげる

戸籍が集まってきたら、次は相続人を図で整理する作業に進みます。
これは次章で詳しく触れますが、戸籍収集の終着点は「相続人が誰かを正確に把握すること」です。

戸籍を順番に追っていくと、「ああ、こういう家族構成だったんだな」と整理されていきます。
ここまで来れば、相続登記や遺産分割の下準備が整った状態です。

ここまでの流れを理解できれば、戸籍収集のハードルは大きく下がります。

戸籍が揃った後にやるべきこと|遺産分割・遺言・生前対策の検討ポイント

相続人が確定したら「次のステップ」へ進むタイミング

戸籍をすべて集め終わると、ようやく相続に関わる次のステージへ進めます。
ここから先の流れは、相続登記、預貯金の解約、遺産分割協議の準備など、財産に直接触れる作業が中心になります。

相続人が確定していない状態で遺産分割の話を始めると、後から「実は相続人がもう一人いた」という事態が起きやすく、話が振り出しに戻ることがあります。

だからこそ、戸籍が揃った段階で一度立ち止まり、どんな手続きを進めるべきか整理しておくことが重要です。

ここでは、読者が「次は何を決めればいいのか」をイメージしやすくなるよう、主要なポイントを順番に見ていきます。

遺産分割へ進む前に確認したいこと

相続人が確定したら、多くの家庭では遺産分割協議の準備に入ります。
ただし、その前に確認しておくべきことがいくつかあります。

財産の一覧を作る

不動産、預貯金、株式、生命保険、貸付金など、財産を全体として見える形にまとめることで、話し合いの方向性がつかみやすくなります。

各相続人の希望をリサーチする

突然の話し合いは摩擦が生まれやすいものです。
「住んでいる家をどうするか」「現金はいくら必要か」など、大まかな希望を確認しておくと協議が穏やかに始められます。

認知症や判断能力に不安のある相続人の有無

相続人の中に判断能力が低下している方がいる場合は、成年後見制度の検討が必要になります。
この一歩を見落とすと、遺産分割協議が無効になることもあるため注意が必要です。

遺言を検討するタイミングが分かるようになる

戸籍をそろえる過程で、「家族の構造」が少しずつ見えてくる家庭は多いものです。
兄弟が疎遠、再婚歴あり、引き取ってくれている子がいる、不動産をどう渡すか迷う…こうした状況に触れると、「遺言を作っておいたほうがいいのでは?」と感じる方が増えます。

遺言には相続トラブルを防ぐ効果があります。特に次のようなケースでは、早めの検討をおすすめします。

  • 不動産が主な財産で分け方が難しい
  • 子ども同士が疎遠
  • 再婚や前婚の子がいる
  • 財産管理を一部の家族に任せたい

遺言は決して大げさなものではなく、「家族の負担を減らすための準備」です。
相続人調査を終えた段階だからこそ、遺言の必要性がより具体的に判断できます。

認知症対策としての家族信託・任意後見という選択肢

戸籍収集の中で、親の年齢や生活状況を改めて感じる場面は多いものです。

「最近判断力が落ちてきた気がする」
「財産管理を任せられる人が必要かも」

そんな不安がある場合は、家族信託や任意後見制度をあわせて検討すると安心です。

家族信託は柔軟に財産管理を任せられる仕組みで、不動産や預貯金の管理を子どもに託すことができます。
一方、任意後見は判断能力があるうちに契約し、将来判断能力が低下したときに備える制度です。

両者には役割の違いがありますが、どちらも「親の将来のために準備しておく」という意義は共通しています。

市川周辺でよく寄せられる相談パターン

市川やその近隣地域では、次のような相談を受けることが多い印象です。

  • 親が遠方で暮らしていて、戸籍や書類の収集が大変
  • 実家が戸建てで不動産の扱いに悩む
  • 兄弟間のコミュニケーションが少なく、話し合いに自信がない
  • 親が認知症ぎみで判断能力が不安

こうした状況でも、戸籍が揃って相続人が確定していれば、少しずつ解決策を整理できます。
必要なら、遺言や生前対策を早めに組み込むことで、後々の負担を大きく減らせます。

ここまでで、戸籍収集が相続の土台としてどれほど重要か、そしてその後に何を考えるべきかが見えてきたはずです。

戸籍収集は“家族を守る準備”|つまずきやすい人が押さえたい三つのポイント

戸籍収集はただの書類作業ではなく「家族の将来を整える時間」

ここまで、相続人調査の流れから戸籍の種類、収集手順、そしてその後の遺産分割や生前対策まで一気に見てきました。
読者の方も、「思っていたより奥が深いなあ」と感じているかもしれません。

ただ、一つだけ強調したいのは、戸籍収集は単なる事務作業ではないということです。
家族の状況を整理し、相続や老後のことを前向きに考えるための大切な入口なのです。

忙しい日常のなかで後回しにしたくなるテーマではありますが、いざ手をつけてみると「早めにやっておいてよかった」という声が多いものです。

では、初めて相続の準備に踏み出す方が押さえておくべき三つのポイントを整理していきます。

① 一生分の戸籍をそろえるには思っている以上に時間がかかる

戸籍収集の負担は、思いのほか「時間」に依存します。
本籍地が複数の自治体にまたがっていると、請求先も複数になり、郵送でのやり取りは一往復に数日かかります。

市川周辺の相談でも、次のようなケースはよくあります。

  • 親の本籍が何度も動いている
  • 戸籍が古く、活字体ではなく読みにくい
  • 遠方の自治体から書類を取り寄せる必要がある
  • 戸籍を一つ取ると次の本籍地が見つかり、さらに別の自治体へ請求する流れになる

こうしてみると、最初からストレートに揃う家庭の方が少ないのです。
だからこそ、時間に余裕を持って進めることが大切になります。

② 相続・遺言・成年後見は“早めに準備するほど負担が軽い”

「まだ元気だから大丈夫」「いつか考えよう」と思って先送りにしてしまうと、気づいたときには状況が進んでしまっていることがあります。

特に、相続や遺言、成年後見は、判断能力がしっかりしているうちに進めておくほど選択肢が広がるという特徴があります。

たとえば、

  • 親の認知症が進んでしまい、遺言が作れなくなった
  • 判断能力の低下により、任意後見契約が締結できない
  • 不動産の管理が難しくなってきて家族信託を検討したものの、整理が後手に回った

こうした状態になると、できる対策は減り、家族の負担は増えてしまいます。
逆に、戸籍収集の段階で「これは早めに手を打った方がいいな」と気づければ、将来の選択肢を大きく確保できます。

③ 専門家に頼ることで“難しい部分だけ丸投げ”もできる

相続人調査や戸籍収集は、家族だけで取り組むことももちろん可能です。
ただ、戸籍が多い、遠方の自治体が関わっている、相続人が複雑、認知症の方がいる…といったケースでは、途中で負担が大きくなりがちです。

そんなときは、行政書士など専門家が部分的にサポートすることもできます。

  • 戸籍収集の代行
  • 相続関係説明図の作成
  • 相続登記の提携先紹介
  • 遺言や生前対策の方向性整理
  • 成年後見制度や家族信託の相談窓口の案内

「全部お任せ」ではなく、「苦手なところだけ頼む」という使い方も十分可能です。
相談したからといって必ず依頼しなければならないわけではないので、まずは疑問点を解消するために軽く相談してみるのも良い選択です。

戸籍を集めることは、未来の安心につながる一歩

相続の準備は、気持ちの面でも負担を感じやすいテーマです。
それでも、戸籍収集という最初の一歩を踏み出すことで、家族の状況が見えるようになり、不安が少し和らぐこともあります。

自分のため、そして家族のために、できることからゆっくり進めれば大丈夫です。
必要であれば、専門家の力を借りて負担を減らしながら進めていきましょう。