目次
先延ばしになってしまうのは、自然なこと
相続の話って、切り出すだけでも気が重いですよね。
「まだ元気なのに縁起でもない」そんな雰囲気になることもありますし、親のほうから「そんな話はまだ早い」と言われてしまうこともあるかもしれません。
だから、先延ばしになってしまうのは、ごく自然なことだと感じています。
ただ、相談の現場でお会いする方々から何度も伺うのが、「元気なうちに話しておけばよかった」という後悔の声です。これは特別な家庭だけの話ではなく、ごく一般的なご家庭でも起きていることなんです。
相続は、亡くなってからの手続きだけではありません。
生前のうちにできる準備がたくさんあって、そこに大きな違いが生まれます。だからこそ、親御さんが元気な今が、いちばん選択肢の多いタイミングなんですね。
ここからは、先延ばしにしてしまうことで起きやすい3つの落とし穴について、お話させていただきます。
1.認知症が絡むと、選べる制度が限られる
まず一番イメージしやすいのが、認知症の問題です。
認知症になるとすべてが終わり、という話ではありません。でも、できることとできないことが、はっきり分かれてくるのは事実です。
たとえば遺言。遺言は書き方よりも、「書ける状態かどうか」が重要になります。
本人の判断能力が落ちてしまうと、作成自体が難しくなることがあります。家族が代わりに書くことはできませんし、無理に進めてしまうと、後になって有効性をめぐって揉める原因にもなりかねません。
家族信託も同じで、契約である以上、本人の意思確認が大前提です。
つまり、「まだ元気だから今度でいいや」と先送りしているうちに、制度の選択肢が急に狭くなってしまう可能性があるんです。
ここでよくあるのが、「親は元気だと思っていたのに、入院をきっかけに急に話が進まなくなった」というパターンです。体力や気力が落ちると、話し合い自体がしんどくなってしまうんですね。
準備は、知識の多さよりも、タイミングが大事だと感じています。
見落としがちなサイン
忘れっぽさが増えた、同じ話を繰り返す、段取りが苦手になった。
こういうサインが出たときに、すぐに成年後見が必要だと決めつける必要はありません。ただ、備えを始める合図にはなるかもしれません。
2.家族仲が良いほど、揉めたときに困る
次は、ちょっと意外に聞こえるかもしれません。
「家族仲が良いから大丈夫」。これは本当によく伺いますし、お気持ちもよく分かります。
ただ、仲が良いご家庭ほど、「決めないまま進んでしまう」ことがあるんです。
決めなくても回っているので、話し合いを後回しにしやすい。その結果、いざ相続になったときに、それぞれが別々の前提で考えてしまっている、ということが起きてしまいます。
相続で揉めるのは、遺産が多いからではありません。
納得感がズレるからです。
たとえば、「親の面倒を見てきたのは自分だ」と思っている方と、「いや、みんなで支えてきた」と思っている方。
同じ家庭の中でも、見え方が違うことがあります。
さらに、不動産が絡むと、感情的になりやすいです。
「自宅を売りたくない」「住み続けたい」「換価したい」。どれも間違いではありませんが、方向性が割れやすいんですね。
よくあるすれ違いの例
- 「長男だから、当然この家を継ぐものだと思っていた」
- 「みんな平等に分ける前提だと思っていた」
- 「親は売らないつもりだと思っていた」
こういう前提が、口に出さないまま積み上がっていると、相続の場面で一気に表面化してしまいます。
3.事務手続きが面倒になって、相続登記を放置
3つ目は、少し地味ですが、実務的にとても大切なお話です。相続登記のことです。
不動産がある場合、名義変更をしないまま放置すると、後で面倒が増えてしまいます。
相続人が増える、連絡が取れない人が出る、遺産分割の合意を取り直さないといけない。こういう負担が積み上がっていきます。
市川周辺でも、自宅不動産が中心になる相続は多いです。
「家はあるけれど現金はそれほど多くない」。そうすると、どうしても手続きの優先順位が下がってしまいがちです。
でも、名義が変わっていないことが、後々の選択肢を狭める足かせになってしまいます。
売却や賃貸、空き家対策など、将来の選択肢を広げるためにも、相続登記は早めに手を打っておいたほうが安心です。
後回しが増幅していく仕組み
- 「相続登記はいつでもできる」と思っている
- 話し合いがまとまっていない
- 手続きが難しそうで手が止まっている
- そのまま数年が経過して、相続人が増えてしまう
こうなると、もともと小さかった問題が、大きな課題に育ってしまうんです。
先延ばしのコストは、選択肢の減少
相続の話をするのは、気が重いですよね。
でも、先延ばしの代償は、お金よりも「選択肢が減ること」だと感じています。
親御さんが元気な今なら、遺言も、生前対策も、家族での話し合いも進めやすいです。
逆に、体調や判断能力に不安が出てからだと、できる手段が限られて、ご家族の負担が増えやすくなってしまいます。
次の章では、相続で揉めやすい家庭の共通点と、遺産分割のトラブルが起きる流れを、もう少し具体例を交えて整理していきます。これを押さえるだけでも、争族を回避できる確率がぐっと上がります。
相続で揉めやすい家庭の共通点と遺産分割トラブルの火種
揉める家庭の共通点
相続のトラブルというと、資産家の話に見えがちです。
でも実際は、ごく普通のご家庭でも起きています。むしろ普通のご家庭ほど、準備がないまま本番を迎えやすいのが現実です。
ここでお伝えしたいのは、「誰が悪い」という話ではありません。
「揉めやすい構造がある」という話です。構造が分かれば、避ける手を打つこともできます。
火種は金額よりも納得感
遺産分割の争いは、数字の取り合いというより、「気持ちの精算」になってしまう場面が多いです。
たとえば、こんな言葉を聞いたことはありませんか。
- 「自分が一番面倒を見た」
- 「介護も通院も自分だった」
- 「いや、そんなの知らなかった」
- 「親は本当はこう思っていたはず」
こうなると、話し合いが財産の話から外れていってしまいます。
過去の不満や、家族内の役割分担の不公平感が、相続というタイミングで噴き出してしまうんです。
大事なのは、気持ちが絡むことを前提に、段取りで守ることだと考えています。
段取りというのは、「誰が何を相続するか」だけではなく、「どうしてそうするのか」の説明を残すことも含みます。
説明がないと、人は悪い方向に想像する
親御さんが何も言わないまま亡くなると、残されたご家族はこう考えます。
「多分、こういうつもりだったんだろう」と。
でも、想像は人それぞれです。
その結果、ご家族が別々の前提で話し合いに入ってしまい、すれ違いが起きてしまいます。
不動産があると揉めやすい!自宅が争点になる理由
市川周辺でも多いのが、遺産の中心が「自宅不動産」というケースです。
預金は思ったほど残っていない。でも家はある。ここが難しいところです。
自宅が絡むと、揉めやすさが一段上がります。理由はシンプルで、「分けにくいから」です。
しかも、自宅には感情が乗ります。
住み続けたい人、売って分けたい人、空き家にしたくない人。どれも正しいけれど、両立しないことがあるんですね。
ありがちなすれ違い
- 「長男が継ぐものだと思っていた」
- 「兄弟で平等に分けると思っていた」
- 「親は売却しないつもりだと思っていた」
- 「売るなら、せめて自分が買い取りたい」
ここで重要なのは、「揉めそうだ」と気づいた時点で立ち止まることです。
勢いで遺産分割協議を進めてしまうと、後で不満が残りやすくなります。
相続人が多い・疎遠・前婚……連絡が取れない。
揉めやすい家庭の共通点として、「相続人の把握が不十分」というものがあります。
相続人は、家族の感覚と法律の範囲がズレることがあります。
たとえば、前婚の子がいる、養子縁組がある、疎遠な兄弟がいる。こういう場合、相続人の顔ぶれが想定と変わることがあるんです。
そして、相続は合意が必要な場面が多いです。
連絡が取れない方がいると、その時点で手続きが止まりやすくなります。
これは誰かを責める話ではなく、事前に把握しておく価値が大きいという話です。
できれば早めに確認しておきたいこと
- 相続人になり得る方は誰か
- 連絡先が分かるか
- 関係性が悪化していないか
- 話し合いの場に出てきてくれそうか
相続登記を後回しにするリスク
不動産がある相続で、最後に効いてくるのが相続登記です。
名義変更の話は地味なので後回しになりがちですが、放置すると選択肢が狭まってしまいます。
たとえば、自宅を売りたい、賃貸にしたい、リフォームしたい、空き家の管理をしたい。
どれも名義が動いていないと進めにくくなります。
さらに怖いのが、時間が経つほど相続人が増えることです。
次の相続が起きると、話し合いの当事者が増えて、合意が取りにくくなっていきます。
後回しの連鎖
- 「相続登記は落ち着いてからでいい」
- 話し合いがまとまらない
- そのまま数年が経過
- 相続人が増える
- 合意形成がさらに難しくなる
こうなると、最初は小さな迷いだったものが、手続きの壁に変わってしまいます。
火種は家族の中にあるのではなく、見える化されていないだけ
相続で揉める家庭には、よくある共通点があります。
- 納得感のズレ
- 不動産が中心で分けにくい
- 相続人の把握が曖昧
- 相続登記が後回しになりやすい
逆に言えば、見える化しておけば、多くは穏やかに進められます。
その見える化の代表が、「遺言」です。
次の章では、遺言は難しくないという前提で、失敗しない書き方と作り方、そして争族回避につながる3つの準備を、できるだけ分かりやすく整理していきます。
遺言の失敗しない書き方・作り方
遺言は家族への説明書
遺言と聞くと、何となく堅い印象がありますよね。
でも、役割はとてもシンプルです。「誰に何を残すかを決めておくこと」。
そしてもうひとつ、大事な役割があります。
「なぜそうしたのかを家族に伝えること」です。
相続の揉めごとは、金額の問題というより納得感の問題になりやすい、という話を前の章でしました。ここで遺言が効いてきます。
遺言があると、遺産分割の話し合いがゼロになるとは言い切れませんが、迷子になりにくい。少なくとも、「親の意思」という基準点ができるんです。
そして、もう一つ。
遺言は、親御さん自身の安心にもつながります。「これで家族が困らないなら」という気持ちになる方は多いです。
自筆か公正証書か
遺言の書き方を調べると、最初にぶつかるのがこの選択です。
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらが正解か。これは、ご家庭の状況によって変わってきます。
まず、ざっくり整理するとこうです。
- 自筆証書遺言
自分で書いて残せる。早く始めやすい。 - 公正証書遺言
公証役場で作る。手続きは増えるが、確実性が高い。
ここで大事なのは、制度の暗記ではなく、「何を優先するか」です。
まず形にしたいなら、自筆から
親御さんがまだ元気で、まずは方向性を決めたい。
こういう場合は、自筆から入るのも一つの選択肢です。準備が進むだけで、ご家族の不安が軽くなります。
ただし、自筆には注意点があります。形式を外すと無効になり得ますし、内容が曖昧だと後で解釈をめぐって揉めることもあります。書き方を調べる方が多いのは、まさにここが心配だからですよね。
失敗したくないなら公正証書
不動産がある、相続人が多い、前婚の子がいる、兄弟関係が微妙。
こういう場合は、公正証書遺言を選ぶほうが安心につながりやすいです。
作成には段取りが必要ですが、その段取りこそが争族回避の準備になっています。何を誰に残すかを整理し、資料を揃え、説明をしていく。その過程で、曖昧な部分が減っていきます。
遺言を作る前にやるべき3つの準備
遺言は書き方も大事ですが、その前の準備でほぼ決まります。
ここでは、初めての方でも取りかかれる3つの準備を整理します。
準備1・財産の棚卸し
まずは、何が財産なのかを把握します。完璧な一覧をいきなり作る必要はありません。大事なのは、全体像です。
よくあるのは、「預金だけ見て安心していたら、実は不動産が争点だった」というケースです。逆もあります。家だけが目立って、保険や退職金、借入の存在が見落とされる。
最低限、こんな項目を確認すると話が進みます。
- 不動産(自宅・土地)
- 預貯金
- 保険
- 株式や投資信託
- 借入(住宅ローンなど)
- 車や事業用資産
市川あたりでも、自宅不動産が中心の相続は多いので、不動産の存在を先に押さえるだけで、設計が変わることがあります。
準備2・相続人の確認
次は相続人です。これは思った以上に重要です。
家族の感覚としては、「うちは子ども2人だから、2人で分ければいい」と思いがちです。
でも、前婚の子がいる、養子縁組がある、認知した子がいる、配偶者がいるいない。こうした事情で法律の範囲が家族の感覚とはズレ、相続人が変わってしまうことがあります。
遺言は、「誰に残すか」を決めるものなので、相続人の前提がズレていると、設計からやり直しになります。ここを早めに確認しておきましょう。
準備3・希望の優先順位を決める
最後が、一番大事かもしれません。
親御さんが「何を優先したいか」です。
- 自宅は守りたい
- 子どもに平等に分けたい
- 介護してくれた子に多めに残したい
- 事業を継ぐ子を支えたい
全部の希望を同時に満たすのが難しいこともあります。だからこそ優先順位が必要です。優先順位が決まると、遺言の内容が一気に具体化します。
ここで、家族へのメッセージを添える考え方も大事です。
誰かを優遇する形に見えるときほど、理由を言葉で残しておくと納得感につながりやすい。ここが争族回避に効きます。
書き方でつまずかないために
遺言で困りやすいのは、書き方の細かい形式より、内容の曖昧さです。
たとえば、「家を長男に」だけだと、「どの家か」「土地も含むのか」「持分はどうするのか」といった解釈が出てきます。
また、「現金を平等に」と書いても、現金が足りなければ成り立ちません。
なので、財産の棚卸しとセットで考えることが重要です。
このあたりは、行政書士が交通整理しやすい部分です。押しつけるのではなく、ご家族の状況を聞きながら、曖昧さを減らすお手伝いをさせていただきます。
遺言は家族の迷子を防ぐ道しるべ
遺言は難しいものではありません。
難しくしているのは、手を付けないまま時間が過ぎてしまうことです。
- 形にするなら自筆
- 確実性を取りにいくなら公正証書
- その前に、財産・相続人・優先順位の3つを整える
この流れを押さえるだけで、遺産分割の話し合いは進めやすくなります。
次の章では、遺言だけでは対応しきれない場面として、認知症への備えを取り上げます。成年後見の仕組みと家族信託の使い分けを、できるだけ分かりやすく整理していきます。
認知症に備える!成年後見の仕組みと家族信託の使い分けについて
認知症の不安があるとき、何から考えるべきか
親御さんの物忘れが増えた気がする。通帳や印鑑の管理が心配。
そんな不安が出てくると、検索で成年後見や家族信託にたどり着く方が多いです。
ただ、ここでいきなり制度名から決めに行くと、混乱しやすいです。
大事なのは、「何を守りたいのか」「何が起きそうなのか」を整理することです。
たとえば、次のどれが近いでしょうか。
- 預金の出し入れや支払いが心配
- 不動産の管理や売却が必要になりそう
- 施設入所や介護の手続きが増えそう
- 親が悪質な勧誘に引っかからないか不安
- 兄弟の足並みが揃うか心配
こうした心配の中身によって、選ぶべき制度や準備が変わってきます。
成年後見と家族信託は役割が違う
成年後見と家族信託は、同じように語られがちですが、得意分野が違います。
ここを混同してしまうと、後で困ることがあります。
- 成年後見
判断能力が低下した本人を守るための制度です。 - 家族信託
財産の管理と承継のルールを設計しやすい仕組みです。
それぞれ向き不向きがあるので、ざっくりでも整理しておきましょう。
成年後見の仕組み
成年後見は、本人の判断能力が不十分になったときに、財産管理や契約行為を支援する制度です。
多くの方が期待しがちなのは、「これで何でも動かせるようになる」というイメージですが、実際はそう単純ではありません。
成年後見が役に立つ場面
- 預金の管理や支払いを整理したい
- 介護施設の入所契約など、契約行為が必要
- 悪質な契約を取り消したい
- 本人のために必要な手続きを進めたい
このように、「本人の利益を守る」という目的に沿う行為が中心です。
誤解されやすいところ
成年後見は、「家族が自由に使える財布を作る制度」ではありません。
本人のために必要な範囲で動く仕組みです。
また、運用面では、継続的に管理が続くことも意識が必要です。
一回だけ使って終わり、というより、一定期間続く支援になりやすい。
ここが合うご家庭もあれば、負担に感じるご家庭もあります。だからこそ、早めに情報を整理しておく価値があるんです。
家族信託の考え方
家族信託はざっくり言うと、親御さんの財産を「誰がどう管理し」「最終的に誰に渡すか」を、契約で決めておく仕組みです。財産管理の設計図を作るイメージを持っていただければ良いかと思います。
よくある目的は次のようなものです。
- 親が認知症になったときも、不動産の管理を止めたくない
- 賃貸物件の修繕や契約更新をスムーズにしたい
- 将来の承継先を決めておきたい
- 二次相続まで見据えて設計したい
特に、不動産が絡むケースでは、家族信託が話題に上がりやすいです。
市川でも、自宅や貸家の管理をどうするかが悩みの中心になることがあります。
ただし、万能ではない
家族信託は財産管理に強い一方で、生活面の支援はカバーしません。
たとえば、介護や医療の同意、身の回りの契約のような領域は、別の手当てが必要になります。
この違いを知らずに、「家族信託さえ作れば安心」と思ってしまうと、後で困る可能性があります。
迷ったら、ゴールから逆算
いちばん手っ取り早いのは、まずゴールを決めること。制度名で選ぶより、ゴールで選ぶほうが間違いが少ないです。
生活面の支援が中心なら、成年後見を検討しやすい
- 施設入所や介護手続きが増える
- 本人の契約行為を安全に進めたい
- 詐欺や悪質な契約が心配
こういう不安が強い場合は、成年後見の仕組みが合うことがあります。
財産管理の設計が中心なら、家族信託が検討対象になりやすい
- 不動産を守りたい、管理を止めたくない
- 賃貸物件の運用を継続したい
- 承継の順番まで決めておきたい
こういう場合は、家族信託が選択肢になります。
ただし、実際にはどちらか一つで完結しないケースもあります。
家族信託で財産管理を整えつつ、生活面の支援は別の仕組みで補う。あるいは、状況によって成年後見も視野に入れる。そういう組み合わせの発想が現実的です。
判断能力があるうちに決めるべきこと
認知症への備えで大事なのは、判断能力があるうちに方向性だけでも決めることです。
たとえば、次のような点です。
- 誰が主に手続きを担うか
- 兄弟の役割分担はどうするか
- 不動産をどうしたいか(売却か維持か)
- 親の生活費はどこから出すか
- 親が望む老後の暮らしは何か
これを決めると、成年後見が必要そうなのか、家族信託を考えるべきかが見えてきます。
行政書士に相談するときのイメージ
専門家に相談するのは、制度を決めるためというより、整理をするためと考えると気が楽です。
たとえば、次の情報があると話が進みやすいです。
- 家族構成と心配な点
- 主な財産の種類(不動産の有無)
- 親の体調や物忘れの状況
- 将来どうしたいかの希望(自宅の扱いなど)
ここまで揃っていなくても大丈夫ですが、分かる範囲でメモしておくと、相談が具体的になります。
認知症への備えは、制度選びより準備の順番が大事
成年後見と家族信託は、どちらが上という話ではなく、役割が違います。
- 成年後見
本人を守る支援の仕組み - 家族信託
財産管理と承継の設計に強い
そして、最も大切なのは、判断能力があるうちに方向性を決めることです。
次の章では、ここまでの話を具体的な行動に落とし込んでいきます。家族会議の進め方や、生前対策を前に進めるチェックリストをまとめます。
家族会議の進め方とチェックリスト
相続の準備は話し合いが7割
相続や遺言、成年後見、家族信託。制度の名前が並ぶと、勉強しないといけない気がしますよね。
でも、実務で一番つまずくのは、制度の知識よりも、「家族の話が前に進まないこと」です。
だからこそ、準備の中心は話し合いです。
話し合いができれば、制度は後から選べます。逆に話し合いが止まっていると、どんな制度も動きにくくなってしまいます。
ここでは、今日から動けるように、家族会議の進め方とチェックリストをまとめます。
家族会議は切り出し方で決まる
いきなり相続の話をすると、親御さんが身構えます。
「まだ死んでないのに」と返されて終わる。これ、本当によくあります。
おすすめは、順番を変えることです。
「相続」ではなく、「老後の暮らしの希望」を聞くところから入ると、会話が続きやすいです。
切り出しの例
- 「最近、もしもの時の連絡先とか、まとめておいたほうが安心じゃない?」
- 「病院とか介護の希望ってある?」
- 「家のこと、将来どうしたい?」
- 「困らないように、一回だけ整理しとこう」
この入口なら、親御さんも受け入れやすいことが多いです。
相続の準備は、親を追い詰めるためではなく、「親の希望を守るため」のものだと伝えるのがコツです。
家族会議で決めるのは3つだけ
家族会議で全部決めようとすると、重たくなって失敗しやすいです。
まずは次の3つだけ決めると、前に進みます。
1. 誰が中心になって動くか
相続や介護の話は、全員が同じ熱量で動けないことが普通です。
なので、代表者を決めるだけで進みやすくなります。
2. 何を優先するか
- 自宅を守りたい
- 平等に分けたい
- 介護の負担を考慮したい
- 揉めないことを最優先にしたい
ここは正解がありません。親御さんの希望とご家族の事情で決まります。
優先順位が決まると、遺言にするのか、家族信託を考えるのか、成年後見を視野に入れるのかが見えてきます。
3. 次に何をするか。行動を一つに絞る
次の一手が決まっていないと、結局また先延ばしになってしまいます。
たとえば、次のどれか一つで十分です。
- 財産をざっくり書き出す
- 通帳や権利書など重要書類の保管場所を確認する
- 遺言を作る方向で進める
- 家族信託や成年後見を調べるために相談予約を入れる
この一つが動けば、準備は始まっています。
生前対策のチェックリスト
ここからは、実務で役に立つチェックリストです。全部やる必要はありません。今できるところからで大丈夫です。
情報の整理 編
- 家族構成(相続人になりそうな人の確認)
- 連絡先の一覧(親族の住所や電話番号)
- 財産の棚卸し(不動産・預貯金・保険・借入)
- 重要書類の場所(権利書・通帳・保険証券・年金関係)
- デジタル情報(スマホのロック・主要な契約や口座)
特に不動産がある場合は、自宅の名義が誰か、住宅ローンが残っているかを確認するだけでも前進です。
生活の希望 編
- 介護は在宅か施設かの希望
- 医療の希望(延命の考え方)
- もしもの時の連絡先(誰に最初に連絡するか)
- 生活費の見込み(どこから出すか)
- 自宅をどうするか(維持・売却・賃貸)
相続の話に入る前に、ここを聞いておくと、準備の方向性が定まります。
形にする 編
- 遺言を作る(自筆か公正証書か)
- 認知症への備え(成年後見を理解する)
- 財産管理の設計(家族信託を検討する)
- 不動産があるなら(相続登記を意識する)
制度は難しく見えますが、目的に沿って選べば大丈夫です。
争族回避という意味では、親の意思を形にすることと、家族の役割分担を決めることが効きます。
市川でよくある相談パターン
市川周辺だと、自宅不動産が中心になりやすいので、入口は次のどれかが多いです。
- 自宅を誰が引き継ぐかで迷う
- 空き家になるのが心配
- 兄弟で意見が割れそう
- 親の物忘れが増えて不安
- 相続登記が必要だと聞いて焦った
どれか一つでも当てはまれば、準備を始める十分な理由になります。
迷ったら行政書士への相談を
相談というと、依頼するかどうかを決めないといけない気がして、ためらう方もいらっしゃいます。
でも実際は、「何から手を付ければいいかを整理する」だけでも意味があります。
行政書士に相談するときに、完璧な資料は不要です。
分かる範囲で次のメモがあると話が早いです。
- 家族構成
- 不動産の有無
- 心配していることは何か
- 親の希望が分かっている範囲で何か
ここから、遺言が先か、成年後見の理解が先か、家族信託の検討が必要か、相続登記をどう段取りするか、を一緒に組み立てていきます。
親が元気な今が、いちばん動きやすい
相続の準備は、親御さんが元気なうちほど進めやすいです。
選択肢が多く、話し合いもしやすいからです。
今日できる一歩は、小さくて大丈夫です。
- 老後の希望を聞く
- 財産をざっくり整理する
- 重要書類の場所を確認する
- 遺言を作る方向で動く
- 不安があるなら早めに相談する
先延ばしをやめるというより、「今できる一歩を置く」。
それだけで、ご家族の安心はかなり変わっていきます。
不動産登記や商業登記などの登記申請手続き
は、法律により
司法書士の独占業務
です。
そのため、当事務所では
登記申請の代理や、法務局への登記書類作成・申請代行
は行っておりません。
一方で、登記が関係する
行政手続(許認可等)のご相談や書類作成
については、当事務所の業務範囲内で対応可能です。
登記申請が必要な場合は、
提携司法書士事務所と連携しながらワンストップでサポート
いたします。

