「あれ、この人ちょっと心配だな」と思ったときに。地域包括支援センターという相談先

「あれ、この人ちょっと心配だな」と思ったときに。地域包括支援センターという相談先

「今日は主人が帰ってくるんです」

以前、こんな話を聞いたことがあります。

あるお肉屋さんに、いつもコロッケやメンチカツを買いに来る、近所のおばあちゃんがいました。
コロッケを1個、2個買っていく日もあれば、メンチカツを買ったり、ハンバーグを買ったり。
お店の人とも顔なじみで、ほぼ毎日のように買い物をしていたそうです。

ところが、ある日。
いつもよりたくさん商品を買っていくので、お店の人が「今日はたくさん買うね」と声をかけました。

すると、そのおばあちゃんは、とても嬉しそうに、「今日は主人が仕事から帰ってくるんです」と話したそうです。

「主人もここのメンチカツが好きだから、今日はたくさん買って帰るんです」

お店の人は、「そうですか。それはよかったですね」と、そのおばあちゃんを見送りました。
ところが、ふと考えたそうです。

「あれ……ご主人って、何年か前に亡くなっていたんじゃなかったかな?」

「病院に行ったほうがいい」とは、なかなか言えない

実はそのお肉屋さん、常連のおばあちゃんについて、以前から少し気になることがあったそうです。

会話が少し噛み合わないことがある。
同じ話を何度もする。
以前とは少し様子が違う。

そんなことが重なって、お店の人も「もしかしたら認知症なのではないか」と感じるようになったそうです。

でも、お店の人は家族ではありません。

親しい近所の人ではあっても、あくまでお客さんとお店という関係です。

「一度、病院で診てもらったほうがいいんじゃないですか?」

そう言うのは、やっぱりためらいますよね。

本人を傷つけてしまうかもしれない。
余計なお世話と思われるかもしれない。
そもそも、自分がそんなことを言っていいのか分からない。

では、こういうとき、どうしたらいいのでしょうか。

そんなときに知っておきたい「地域包括支援センター」

そこで知っておいていただきたいのが、「地域包括支援センター」です。

地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活上の困りごとなどについて相談できる、地域の身近な相談窓口です。

「最近、近所のおじいちゃんの様子がちょっとおかしい」
「一人暮らしの高齢者が心配」
「認知症かもしれないけれど、どうしたらいいか分からない」

といった、「ちょっと気になる」という段階でも相談できます。

市川市では「高齢者サポートセンター」という名称で設置されています。

本人ではなく「気になっている人」からの相談でもいい

地域包括支援センターを利用する上で知っておいていただきたいのは、「必ずしも本人を連れて相談に行く必要はない」ということです。

「近所に住んでいる○○さんのことで、少し気になることがあります」

という形で相談することもできます。

もちろん、相談したからといって、すぐに「認知症です」と判断されるわけではありません。

相談内容をもとに、必要に応じて適切な支援につなげてもらえます。

本人に直接「認知症じゃないですか?」と言う必要もありません。

まずは専門の相談窓口に、「こういうことがあったんですが……」と伝えてみる。

それが大きな最初の一歩になります。

「こんなことで相談していいのかな?」くらいで大丈夫

こうした相談で一番のハードルになるのは、「こんなことで相談していいのかな?」という気持ちではないでしょうか。

でも地域包括支援センターは、まさにそうした「ちょっと気になる」を相談するための場所でもあります。

「最近、あの人を見かけるけど、以前と様子が違う気がする」
「一人暮らしみたいだけど、大丈夫かな」
「認知症かもしれないけれど、家族ではないので本人には言いづらい」

そんなときは、まず相談してみてください。

相談したからといって、相談した人がサービスの利用料を負担するわけではありません。

必要な支援につなげるための窓口として、自治体が設置しているものです。

地域で暮らす私たちだからこそ、できること

高齢者の方の変化は、家族よりも先に、近所の人やお店の人が気づくこともあります。

いつも買い物に来る人。
いつも散歩している人。
近所でよく顔を合わせる人。

そうした日常のちょっとした変化に気づけるのは、地域で暮らしている私たちだからこそです。

だからといって、自分たちだけで何とかしなければならないわけではありません。

「ちょっと心配だな」
「以前と様子が違うな」

そう思ったときに、専門の相談窓口につなぐ。

それも、地域でできる大切な支え方の一つなのだと思います。

「地域包括支援センター」という名前だけでも覚えておいてほしい

今回のお肉屋さんの話も、結局のところ、「これって認知症なのかな?」というところで止まってしまっていたら、何もできなかったかもしれません。

でも、「こういうときに相談できる場所がある」と知っていれば、話は変わります。

本人に直接言いにくいことでも、まず第三者に相談してみる。

その相談先の一つが、地域包括支援センターです。

市川市にお住まいの方であれば、「高齢者サポートセンター」という名前で探してみてください。

「ちょっと気になるけど、どうしたらいいか分からない」

そんなときのために、地域包括支援センターという場所がある。

まずは、そのことを知っておいていただければと思います。